私的に‘80年代を語る! 追悼・村下孝蔵 〜浅き夢みし〜 シンガー・ソングライターの村下孝蔵さんが、1999年6月20日、コンサートの リハーサル中に倒れ、24日に亡くなりました。 享年47才。中高年層に多く見られる「突然死」と言って差し支えないのでしょう。かくして あの歌声もメロディも詩も、永遠に失われることとなったわけです。
計17のアルバム。正に珠玉の作品群です。 村下孝蔵(敬称略。以下同)は、1953年2月28日、熊本県で出生。生家が映画館を 経営していたため、映画の影響でやがてギターに魅せられていきました。 その後広島にてピアノの調律師をする傍ら、自主製作アルバムのレコーディング活動。 そして1979年、CBSソニーによるオーディションで最優秀アーティストに選ばれます。 翌年1980年、アルバム「汽笛が聞こえる街」シングル「月あかり」でデビュー。・・・正に これから迎えようとする80年代に向かって、シンガーソングライター・村下孝蔵は産声を あげたわけです。 シンガーソングライター・村下孝蔵の名を世間に知らしめたのは、82年のシングル「ゆうこ」、そして 4枚目のアルバム「初恋〜浅き夢みし」とシングル「踊り子」に「初恋」です。 思春期とは、含羞の時代です。 初めて恋愛であったり、性であったりというものを具体的に意識するようになる世代。しかしながら この時期から男子は日に日に醜くなっていきます。ヒゲは生えるは、声は低くなるは。 かたや女子は、この時期から日に日に美しくなっていきます。 「含羞」。 男子は、なんだか知らないけど醜く、汚らしくなっていく自分へのコンプレックス。 女子は、「女性」になっていく自分への自意識。 動機はそれぞれですが、この時期の男女は、潔癖さから来る「含羞」にさいなまれるのです。
実はこの頃(80年代初頭)から、こと「歌」の世界、ストレートな表現は忌み嫌われるようになっていきました。 要するに、マトモに正面から「愛」とか「恋」を語るのが「ダサい」ことになっていったのです。こういう傾向は どんどん加速度がついて現在に至ってますがそれはともかく、このことは、思春期の男女には 大いに歓迎されました。っていうか、歓迎されると予測して、そういう歌が作られていった、という 順番なんだと思うのですが、とにかく、「そういう歌」は、非常に耳触りよく、思春期の面々に 「含羞」からの逃げ道を与えていました。 そんな中にあって出てきたのが、村下孝蔵「初恋」だったわけです。
・・・はっきり言って、大甘な世界です。 でも、非現実的だったか?と言えば、実は非常にリアルな描写なように思います。 もうカッコつけんのはやめよう。12〜14才くらいの時、みんな、こうじゃなかったか。 そう。思春期とは、大甘な(あまりに潔癖な)世界を理想とする時代であり、世代。 このあと、20才、30才、40才と、年齢を重ねていく度に、理想が必ず現実と異なるって ことが分かってきてしまう。 思春期とは、そのことを知ってしまうまでの、執行猶予の期間。この時期に私たちは、村下孝蔵と めぐり合ったのです。 そして、1999年。村下孝蔵は、突然亡くなられた。 「ああ、亡くなったのかぁ。」 「・・・・・。」 そう。亡くなった。そしてワタシは31才。 氏の逝去によって、改めて執行猶予期間の終わりを実感するのです。 この項において使用・引用している、写真、歌詞などについて、各種の権利を主張される方は、管理者までお知らせ下さい。 「特集」トップへ ↑今すぐクリック!↑ 宮古島に生きる在来馬・宮古馬(みやこうま)の生活を活写! ご意見、ご感想etcは、 メールもしくは掲示板まで! |