私的に‘80年代を語る!
大映テレビデータファイル!


’80年代の中盤から数年間、TVドラマの世界では、ある制作会社の名前が ブランドになっていました。

大映テレビ。

あまりにも特徴的なその演出手法は、当時のTVドラマ界を席捲しました。

’50年代を頂点に、ニホンにおける映画産業は、ジリジリと衰退。それに 伴って、産業の体系も大幅な変化を余儀なくされていきました。

例えば、いわゆる大手映画制作・配給会社に限っても、
*各社とも、制作本数の削減〜外注化=単なる配給会社として機能
*日活が「にっかつ」と社名変更―ロマンポルノに活路を求める・・・その後、 解体
*東映が、テレビ番組制作に着手〜「東映Vシネマ」事業開始
・・・などなど。

東宝、東映、松竹、日活、と並びたつメジャー映画会社だった大映も、 経営不振から、倒産。そして、その制作部門だけが独立して、テレビ制作に進出。 それが「大映テレビ」なわけです。


*「あ」行*
●アイドル
「大映テレビ」による作品がああいう作風になったのは、そのいずれの作品も、 全て「究極の」プログラムピクチャーとして企画されたものだからなのです。 それも、最もわかりやすい目的「(新人)アイドルを売り出す」というもので。
それ自体はまったく珍しくもなんともないことで、世にあまたある制作会社には、 いつでも常にこの種の企画がもちこまれているのですが、かつて映画の全盛期 (’50〜)頃に、大時代的な作品を連発して、我が世の春を謳歌していた大映 の職人スタッフのみなさんは、そういう企画に対して30年前と同じ様式でしか 返答できなかったわけです。
ただ、さすがに豊富なキャリアを誇る皆さんだけに、どの作品も、主役のキャラクター はきちんと練られてます。だから、大抵の人はなんだかんだ言っても、主役の 環境etcにキチンと感情移入できた。そしてドラマはヒットし、主役のタレント は希望するイメージをしっかり確立することができた、と。
●「赤い・・・」シリーズ
大映テレビのああいうノリは’80年代に培われたものではなく、すでに ’70年代中盤からあの手のモノは作られていたのでした。
言いかえるとあそこは、十年一日のごとく、あのノリの作品ばかり作ってた会社なのです。
●石立鉄男
主役(ヒロイン)が挿げ変わるだけで、その他の出演者に殆ど変化がない、 というのも、大映テレビ制作作品の特徴の一つです。ここからも、この会社の 封建性が伺えます。
●イソップ
時代の風潮もなにも無視して紋切り型のストーリー展開に固執するあまり、 時として大映テレビ制作のドラマは、役柄に対して残酷な仕打ちをします。
「スクール・ウォーズ」において「イソップ」という人間の設定は、単に 川浜高校の優勝に対する格付けの意味しかない。そこになにかプラスαするのが、 現代のドラマツルギーというやつなんだけどなぁ。・・・といいながら、そこまで 至らない浅薄さが、ヒットのひとつのひけつなのですが。
●伊藤かずえ
各ドラマにおいて、いずれの場合も主人公(ヒロイン)のアンチテーゼとして、 主に敵役を演じていた。清純なヒロインの像を際立たせるのに、彼女のキャラクター (と、もちろん演技力)は不可欠でした。「剃刀マコ」は、二枚の剃刀でもって 攻撃する。こうすると、事後縫えないんだそうです。
●伊藤麻衣子
「不良少女とよばれて」でのヒロイン。1983年のミスマガジンコンテストを きっかけに、いわゆるアイドルとしてデビュー。そのアイドルとしての活動の 一環として、諸々のドラマに出演。「不良・・・」は、正にその時代における 彼女の代表作です。
今は「いとうまいこ」と改名されて、活躍されてます。
●大沢逸美
大映テレビとホリプロって、なんかあんのか。
●岡田奈々
「スクール・ウォーズ」で、主人公の妻、など、大映テレビ作品に多数出演。
どんな役がらでも、淡々と・・・ひたすら淡々と演じておられた。

*「か」行*
●風間杜夫
「ステュワーデス物語」の「教官」。
松竹映画「蒲田行進曲」と同時期のドラマだったのですが、並べてみると、その 演技の質の違いにオドロく。考えてみると、「教官」役、およびフィアンセ役の 片平なぎさがしっかりしていたからこそ、「松本千秋」という存在の意味が生きて くるわけで。
●風見慎吾
「ヤヌスの鏡」と「スタア誕生」に出演。「ヤヌス・・・」では、あの杉浦幸さまに 「たっちん!」とか呼ばれてやがった。
●川浜
「スクール・ウォーズ」の舞台。地名です。
このドラマでの松村雄基の役柄は「川浜一の不良」というものだった。
●国広富之
この社制作番組の常連の一人。

*「さ」行*
●16mmフィルム
当時の大映テレビ制作による、あのあまりにも大時代的な作品が大衆に 受け入れられた理由のひとつに、その作品が全て16mmフィルムで作られていた、 ということがあります。
大映テレビという会社は、元々黒澤明「羅生門」などを手がけたこともある、 メジャーな映画会社でした。だから、’80年代当時の主力スタッフも、当時 主流になっていたビデオよりも、フィルムによる制作に馴れてい、ということ。
そして、非現実的な一連のストーリーは、現実を生々しく写し取ってしまう ビデオより、フィルムの中でこそリアリティを得る、ということ。・・・こういった 点に拠ります。
事実、90年代に入って制作された「トップステュワーデス物語」などなど、 ビデオによる制作が行われるようになると、あの独特のクサさがハナについて、 とても観るにたえないものになります。
●少女に何が起こったか
小泉今日子主演。石立鉄夫が、なんかやなやつなんだよな、確か。「うすぎたねぇ シンデレラ!」とか言ってね。
●スクール・ウォーズ
実話なんだそうですが、完璧に大映テレビの自家薬篭中のものになってました。
●ステュワーデス物語
最初観たとき、シャレで作ってるのかと思いました。
「今日もシゴいてやるからな、オレの可愛いカメ!」とか。タモリ倶楽部的な 下ネタパロディかと。
ちなみに、最初にこのドラマのキッチュな面白さに着目したのは、確か糸井重里氏 だったと思う。

*「た」行*
●大映テレビ
大映テレビの制作スタッフというのは、もともと映画を作ってた人達が主なの です、当時は。で、映画の世界の人というのは、往々にして映画以外の映像メディア に対して、なんというか、非常な偏見というか差別意識を持っておられる。
どの作品を観てみても、技術的(演出技術も含めて)いかにも手練れたテクニック がちりばめられてはいます。ただ、そういう技術を活用すべき感覚が、かつてメジャー な映画会社だったころから変わってない。これは、この社のTVに対する差別意識 からくるものに他ならない。

*「は」行*
●比企理恵
キツそうな目の女だったっけね。「不良少女とよばれて」で、伊藤麻衣子ふんする 原笙子の友達かなんかで、最後死んじゃう。
●不良少女と呼ばれて
伊藤麻衣子の熱演によって人気を博したドラマ。と同時に、伊藤麻衣子の出世作 ともいえる、と思う。
●堀ちえみ
こんな形で「大映テレビ」がブランド化する、大きなきっかけを作った人。
ホリプロスカウトキャラバンをきっかけに’82年デビュー。代表的なアイドルの 一人として、あれこれ活動。「ステュワーデス物語」は、単にその活動のうちの ひとつ・・・だったはずが、それこそ社会現象とまでいわれるほどに、ブレイク してしまった、という次第。
もともと大映テレビでは、昔からこういう大時代的な作品が、大真面目にセッセと 作られていたのですが、彼女の演技は、その「大時代」な部分に見事にマッチしました。
「ステュワーデス物語」「スタア誕生」「花嫁衣裳は誰が着る」といった 大映テレビ作品に出演しましたが、どれも「松本千秋」でした。

*「ま」行*
●松村雄基
もともとアイドルとしてデビューしたんだそうです。大映テレビ的な目によると、 彼が典型的な不良少年の像なわけです。
「不良少女と呼ばれて」の不良少年「朝雄」役以来、「スクール・ウォーズ」、 「乳姉妹」、「ヤヌスの鏡」、「ポニーテールは振り向かない」、「花嫁衣装は 誰が着る」、と、立て続けに出演。文字通り大映テレビ制作ドラマの「顔」。

*「や」行*
●ヤヌスの鏡
主演の杉浦幸様が好きだったんです。あのスケベっぽさがいいのだ。


大映テレビっていう会社は、元々映画の製作会社だっただけに制作体系が非常に 封建的な会社で、例えば撮影、例えば監督それぞれに師匠と弟子みたいな関係が、 〜どこにでもあるんだけども、特に〜厳然とあるところなのです、って当時は、の ハナシですが。
そんなところで、「教官!」とかそういうドラマ作りがされてた、というのは、 滑稽です。
そんなわけで、管理人、実はあんまし好きじゃないんだよね、ここって実は。


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