年齢は私の方がゼンゼン上ですが、貴乃花は尊敬するスポーツ選手の一人なので、今回のわけわからん「騒動」はとりあえず残念です。
晩節を汚す、とは正にこのこと也、か。我が事務所件住居には地上波放送を受信できるテレビは無いので、具体的に彼が何を言ってるのか、またどんなヘアスタイルなのかなどは、専ら各種サイトから知るしか無い状態なのですが、なんだかあちこちの番組に出まくって、あれこれ喋るまくってるとか。
現役時代、あれほど寡黙だった名横綱、変われば変わるもんです。
ただ、彼にいわゆる一般常識だとか、「普通」さを求めるのは、これはこれで少々酷なような気もします。
大相撲の世界で横綱にまで上り詰めるということは決して「普通」のことではないのでありまして、で、彼はその「普通じゃ無いこと」を目指し、それを実現した、という、極めて「普通じゃ無い」人だから、です。
つまり、良い意味において彼はトンでもなく異常な人なので、ワレワレのような何のヘンテツも無いフツー人間の世界のモノサシにあてはめてはいけない、と。
さらに言うと、大相撲界は各力士等に等しく、「トンでもなく異常な人」であれ、と言ってるわけですので、もはやあの世界に一般常識などが通用するはずも無い、とも思う。
今回の「騒動」は、そんな異常な世界の中のデキゴトですので、ワレワレがどうこう言うような話では全くないと思うのです。
っていうか、そもそも他人の家、家庭の遺産云々の話など、オトナであるワレワレは華麗にスルーしなければいけません。
もっと言うと「マスコミ」であるテレビ局は、こんなことを取り上げるべきではない。こんなことで番組を仕立ててはいけません。
「マスメディア」とは、こんなことのために存在するものではないはず。半分本気でワタシは、この手の番組を作ってるヤカラはタイホされてしかるべきだと思ってます。
他人の家の遺産相続がどうしたこうした言ってる間に、衆議院で郵政法案が可決され、この件に反対した副大臣ら4人が罷免されたりし、沖縄ではまたまたまた米兵がウチナンチューの少女にワイセツ行為を働き、そんな最中に沖縄県内の米軍基地ではアタリマエに独立記念日懇親会なんてのが行われ、県内各市の長が招待され、はて行ったもんか辞退したもんか、と、微妙な問題が起こってたりします。
クドいようですが他人の家の遺産相続がどうしたこうしたってことよりも、マスメディアとしてはこっち、こっちの方が一億倍重要なコンテンツであるはず・・・でしょ?
それはともかく、繰り返しますが貴乃花はワタシの尊敬するスポーツ選手の一人です。
なにより寡黙なのが良かった。彼の寡黙さには、なんというか、神秘性というか、えもいわれぬ空気がありました。
勝った・負けた、に、「言い訳」は無用・・・その結果が全てだ、みたいな封建的な美意識もあったでしょうが、それよりも、現役時代の彼のもつ「勝負」感は、言葉で言い表せるような浅薄なものでは無かったのではないか、と思います。
「弱かったから負けた、それだけです」と、よく言ってましたが、これはポーズではなく、正に本音中の本音だったように思います。
言葉にすると、それしか言い様が無い、と。
「勝」と「負」しかない、シンプルすぎる世界の中、それらを真正面から受け止め、突き詰めると、その精神は形而上的な世界にまで飛んでしまうのかもしれません。
逆に、そこまで自分を追い込んでいったからこそ、彼は頂点に上り詰めることが出来た、とも言えるでしょう。
パワーでも、テクニックでもなく、「精神」で成った横綱、だと思うのです。
引退して、今、テレビでペラペラと有る意味露悪的になんでもかんでも喋りまくってるみたいですが、一芸・一道においてオノレを究極にまで追い込んだことのある人にとって、喜怒哀楽、恐れ、恥などは、大した意味を持たないのかも知れません。
もはやこの世に拘泥する物事など何もなし、という感じなのではなかろうか。