こういう肩書きは彼女の場合、誰よりもピッタリなような気もするし、またもっともそぐわないような気もし、いずれにしてもどうにも収まりが悪い心持だったりするのですが、「AV女優」の林由美香さんが先日亡くなられてしまいました。享年35歳。
彼女とは、彼女のAVデビュー前にホンのちょっとだけ接点を持ったことがありましたので、なんというか、他人事とは思えない、というか、100%客観的にこの事実を見据えることが出来ずにいます。
以下、例によって引用、日刊スポーツの記事です。
AV女優林由美香さん遺体で発見、死因不明
アダルトビデオなどで活躍した女優林由美香(はやし・ゆみか、本名・小栗)さんが、都内の自宅で亡くなっていたことが29日、分かった。35歳。電話に出ないことを不審に思った母親が28日未明に1人暮らしの自宅を訪ね、死んでいるのを発見。警察などに通報した。自宅は施錠されていなかったという。死亡日時、死因など詳細は不明。警察は行政解剖したが、事件性はないとみている。27日が誕生日だった。
80年代末のAV全盛期にデビュー。美ぼうとスレンダーなボディーでトップアイドルになった。97年の主演映画「由美香」は異色のドキュメンタリー作品としても高く評価され、一般劇場で公開された。
最近は年に十数本の成人映画に出演し、欠かせない存在になっていた。林さんと4月に会った映画関係者は「元気で変わった様子はなかった」と話している。
彼女がその半生を賭したいわゆるAV業界において、彼女のことを悪く言う人は殆どいないそうです。
そういや上記した私の「接点」に関連する人物も、・・・いろんな人のことを悪く言いがちなタイプなのですが、彼女の事は決して悪くは言いませんでした。
“いいこだったよ・・・”と、珍しく繰り返し言ってました。
彼女のお通夜だか葬式には、600人とかいうレベルの人が集まったそうです。
それがAVであろうとなんであろうと、自分の従事する職業の業界で「悪く言われない」というのは、理想です。
それだけ自分の「職業」に対して誠実であった、ということに他なりません。
そうでなければ、このアホみたいにうつりかわりの激しいAV業界において、20年近くも活躍できるはずがない。1年くらいで業界ひとまわりして消える、というのが「AV女優」の典型像ですが、80年代末にデビューして以来、現在まで一線で活躍してた、というのは、この業界的には奇跡に近いことでしょう。
見習わなくてはいけません。
また、彼女は存在感がスゴかった。
舞台だろうが、ブラウン管上だろうが、写真上であろうが、どこにもってっても飛びぬけた存在感を示してくれました。
僭越ですが、「彼女こそ“名女優”であった」と言いたいです。
上に引用した新聞紙面では、「AV女優」という肩書きが採られていますが、繰り返しになりますがこういう肩書きはとうもシックリこないです。
彼女は「林由美香」であって、それ以外の何者でもないからです。
AV女優でもあったし、風俗嬢でもあったし、いわゆる女優さんでもあったわけですが、それらを全てひっくるめた「林由美香」であって、それ以上でもそれ以下でも無かった、と、思います。
これもまた僭越ながら・・・オグリさんさようなら。ご冥福をお祈りいたします。