WBA世界フライ8位の亀田興毅(19=協栄)が、WBA世界ミニマム級前王者ノエル・アランブレット(31=ベネズエラ)7回終了TKOで下しました。
7回終了・・・当サイト管理人の予想は微妙に外れてしまいました。
外れた理由は、アランブレットの「昔取ったキネヅカ」的テクニックが予想以上に冴えていた、というこです。
これでもうちょっとマトモに調整してきてくれてれば、ハッキリ言って亀田に勝ち目は無かったように思います。
・・・が、そういうアランブレットでなかったからこそ、この試合が組まれた、とも言えます。
ぶっちゃけ、この亀田戦、アランブレットにはなんのメリットも無い試合です。
燦然と輝く実績を持つアランブレットにとって、ここで亀田と対戦し、勝ったところで今後のビジョンになんの変化も有りえないわけで。
前々からここで書いてますが、亀田のキャリア、特にその今回も含めた対戦相手にどんな「問題」があろうとも、それは亀田本人には全く責任の無い事で、彼は与えられた仕事をひとつひとつ忠実にこなすべく相応の努力をし、そして期待されるレベルの結果を確実に出してきた・・・これは評価されていいし、されるべきだと思います。
今回も、あのファイトスタイルのアランブレットに対し、19歳のグリーンボーイ(といって差し支えないと思う)としては充分すぎるほどの戦い振りでした。並の選手では、5ラウンドでイヤになっちゃってたように思う。
加えて、さいたまスーパーアリーナというデカいハコで、しかも地上波で中継放送付きという設定。これは非常なプレッシャーだったろうと思います。
そんな中、彼は立派に戦い、そしてとりまき連中から望まれていた結果もキチンと出したわけで、それだけでも彼は並みの選手ではなかろうと思います。
なにしろ、彼はWBA世界ミニマム級前王者ノエル・アランブレットに7R終了TKOで勝った。
おめでとう亀田・・・本人に対しては純粋にこう言いたい。
・・・まぁそれはとりあえず置いといて、アランブレット。
残念ながら彼も、前々回のサマン・ソー・チャトロン同様、もはや世界戦線クラスの選手では無くなってしまってました。要するにロートル。もはや新井田や星野と対戦したアランブレットでは無かった。
明らかに調整不足でしたが、それでも6Rまである程度亀田をさばききれたのは・・・ああ、これがキャリアというものなんだな、と。
ロクに事前調整してなくても、「昔取ったキネヅカ技術」だけであれだけ出来ちゃうもんなんだな、と思いました。「経験」とはかように大事なものなのであります。
しかし、ボディブローに対する耐久力、これはキャリアのみではいかんともし難いもので、全盛期であれば当たり前に耐えられたはずの正面からのボディがダイレクトにダメージになってしまい、その結果最後は戦意喪失・・・なんとも淋しい限りです。新井田や星野はどう思ったでしょうか。
もひとつ。
亀田、もしかしたら、次戦が世界戦になるかも、とのこと。
当たり前すぎてバカバカしいので言いたくなかったりもしますが、「まだ早い」と。
チャンピオンというものは、「勝ち抜いてきた者」に与えられる称号です。
今の亀田に決定的に足りないのは、この「勝ち抜いてきた」という経験。
アランブレットがあれほどブザマなロートルでありながら、なぜ若き亀田を途中まであしらうことが出来たか。あれこそがキャリア・・・さまざまな対戦相手群から「勝ち抜いてきた」際に身についた経験のなせるワザです。
以前にも書きましたが、例えばジョージ・フォアマン。彼も鳴り物入りでのデビュー後しばらくは、あからさまな「噛ませ犬」相手にKO勝利のレコードばかり重ねていましたが、それでも世界戦前にはそれなりの選手相手に勝利し、タイトルコンテンダーとしてのコンセンサスを得てました。
またキャラが似てる(とよく言われてる)辰吉丈一郎は、日本王者の岡部、バリバリのランカーであるアブラハム・トーレスと対戦し、誰にも疑わせない実績を積み重ねた上での世界挑戦でした。
彼らはそういう相手との戦いを「勝ち抜いて」、その末に世界王座に就いたわけです。
対する亀田は、まだ何者にも勝ち抜いて無い。
今日までの9戦全て、亀田が勝つことにのみ、その意義のある試合でした。
亀田のとりまきの皆さんにしてみれば、とにかく、世界挑戦だけしてくれればいい、みたいな気持ちなんでしょうか。
とりあえず前景気を盛り上げて、世界挑戦試合の視聴率のみ良ければそれでよし、ってな感じなのでしょうか。
もしかしたら、亀田を一番過小評価してるのは、ほかならず亀田取り巻き連なのかもしれません。
辰吉のような「天才」では無いものの、日本国内では少なくとも上位のレベルですよ。ハッキリ言って今の内藤より強いんじゃないか。
真っ当なマッチメイキングも含めてキチンと育てれば、誰しもが納得する世界挑戦者になれる素養はあるように思いました。