今度は警察に捕まりました。軽犯罪法違反、ですってよ。
車のカギに、ヴィクトリノックス製の、全長約5cmほどのツールナイフをキーホールダーとして付けていたのだが、これがイカン、と。
某所を運転中、ほぼ無意味に停車させられ、あれよあれよという間に車内を探索され、その末にカギに付いてるこれを発見され、そのまま署まで連行された。
AM1:00に署に連れて行かれ、供述調書だかなんだか書かれ、全身・半身で各角度での写真を撮られ、両手の全ての指及び掌の指紋を取られた。
で、開放(釈放?)されたのがAM5:00。
供述調書は検察庁に送られる。で、検察の判断で持って起訴されたら、オレはまたたく間に「前科者」になる。こんなんで前科者になったんじゃたまったもんじゃないが、なにしろそういう次第らしい。
この程度で起訴される事はまぁまず無いですけどね、とは言われたものの、気分は悪い。
なんでも、オレを捕まえたパトカーは、警察署に所属しているものではなく警視庁直々のもので、特に刃物・凶器関係を専門に取り締まっている部隊らしい。
本庁の担当者が捕まえ、そのまま所轄?に送る、という仕組みなんだそうで。
本庁から言われたんじゃ、所轄としても軽く流すわけにはいかないんだろうな、と、そんな事情もあってか・・・かくして軽犯罪法違反の犯罪者と相成ったオレだが、署での扱いは非常に丁寧で、VIP待遇?という感じであった。
“大変申し訳ありません。ご迷惑おかけ致します・・・”
というセリフを何度も聞いた。
開放された際は、結構上役っぽい感じの人も含め、5、6人に出口まで送られた。最敬礼でしたよ、90°のお辞儀でもって。
・・・でも、やられたことは、犯罪者扱いであることに変わりは無い。
このツールナイフだが、なにもファッションとかそういうことで所持していたわけではなく、照明機材のパラフィン紙だとかゼラチンフィルターだとかの裁断や、ヤスリ部分は例えばブツ撮り時などに備品のサイズ調整だとかでもってフル活用していたので、これの所持が犯罪だってことになると業務に非常な支障を来す。
っていうか、普通にキーホルダーとして売ってたものなので、まさかこれで捕まるとは夢にも思わなんだ。
全長5cm、ナイフ部分は刃渡り3cmほど・・・なにしろキーホルダーとして売られてるような代物なので、とても人を傷つけられるようなものじゃないと思ったのだが、どこぞの通り魔はまさにこれで数人を傷つけ、そのうちのお一方は左腕に重篤なマヒが残ってしまっている由。実際にこの犯人がこれをどのように使ったかなど、軽く実演してもらったのだが、やり方によっては確かにこんなチッポケなナイフでも凶器として充分。
とりあえず、ナイフは危ない。凶器である。
このことを充分に認識できたオレは、もう二度とこの手のものを持ち歩いたりはすまい、と思う。かなり反省しましたよマジで。
ただ、例えナイフを取り締まったところで、通り魔やるようなヤツはナイフがダメなら別のなにかを使ってやるに決まってるので、この取締り自体は実は無意味だ、とも思える。もっと根っこの部分を解決しなければ、こういう事件はなくならないし、減らない。
しかしながら、そう判ってたとしても、警察の立場としてはとりあえず取り締まる以外どうすることも出来ないだろうとも思えるので、そういう意味で彼らの仕事の空しさにちょっとだけ同情したりもした。
オレはかつて公安委員会による交通安全活動推進委員だったり、某TV局でサラリーマンだった時代には広報協力なので10数枚ほど感謝状をもらったりしていた。
そんなわけで警察の皆さんとは、ある時期非常に「綿密な人間関係」を構築していた。
何回一緒にメシ喰ったり、呑みに行ったかわからない。
だから、彼らの激務については、それなりに理解しているつもりである。相変わらず警察官の不祥事の報もよく耳にするが、少なくともオレの知ってる警察官は、制服・私服の別なく、皆使命感に溢れた好漢だった。
そんな縁があるからってわけではなく、今回の事、オレはあまりムカつかずに、素直に受け入れている。なにしろこんなもん持ち歩いちゃダメだなぁ、と思うし、なにしろ彼らは彼らの職務を忠実に遂行しているだけなのである。疑問を持ったりすることは彼らには許されていないのだから。
でもって、彼らの本質的な無力さに多少同情している。
ああ、あとね、供述調書は今回A4で5枚ほど、文字の級数はだいたい18~20ptくらいで、要するにそれほどのボリュームでは無いはずなので、これをまとめるだけに3時間もかけるのはどうかと思う。
その間オレはひたすら無言で書きあがるのを待ってた。辛かったよマジで。