内藤が負けてしまいました。スコアを見ると4~6ポイント差で、ほぼ亀田の完勝、という体裁になっています。
前に出てくる内藤に対し、サウスポーならではのいきなりの左ストレート等で応戦、という、いわばセオリー通りの戦法。
最後までこれを崩さず、亀田側としては理想的な試合展開ができた、ということでしょう。
亀田の勝因は、ほぼこれに尽きます。
逆に、内藤の敗因もこれ。
サウスポーらしいこの戦術を最後まで崩しきれなかった、というのが敗因でしょう。
総論としては、これで全てです。
総論は総論として、下記、亀田の勝因、及び内藤の敗因。
・・・まず、内藤に、やはり衰え?が見られました。
亀田次男戦などと比べても、やはりキレ、スピードがやや落ちていました。ステップイン・アウトも以前はもう少し早く、且つ大胆だったです。
また、ハンドスピードもやや落ちてるように思いました。ポンサクレック第3戦時などでは、もう少しパンチも早かったと思う。
あと、亀田の左ストレートに、あまりにも対応出来無さすぎた。
亀田があれを多用してたら倒されてたorストップされてたかもしれません。
この辺は亀田のキャリアの乏しさに救われた感があります。
また、あれほど終始無策だった、ってのも、やはり「衰え」なのかもしれません。
(関係ないですが、最近TBSの中継で頻繁に「ノーモーションの左(右)」などという語彙が多用されますが、世界戦を行うレベルの選手のパンチは基本的に全てノーモーションであって、逆にフェイント等の意味をもってあえてわざとモーション付きで放つ選手もいるくらいです。
大げさに言うと、この局(に限らないかもしれませんが)は、この競技の成熟具合を把握していない、ということになります。ノーモーションだってことは、この競技においてそれほど大した技術ではない、と。
亀田の「ノーモーションの左(右)」というのは、要するに左(右)ショートの意味ですねあれは。)
亀田の勝因は、なにしろあの戦法を守りきった、これに尽きます。
あの内藤相手にかく乱されずに、終始冷静に戦いきることができました。
冷静と書きましたが、ホントはまるで冷静じゃなかったですけどね。
冷静に、というよりも、必死にこの戦術を完遂した、という方が適切に思えました。
このことは彼の今後のキャリアにおいて大きな財産になるでしょう。成り得る、というか。
あとですね、これが最も、表題通り少数派意見になっちゃう気がするんですが、内藤側の最大の誤算は、8ラウンド終了時の採点でしょう。
あそこまでで、ほぼ全てのジャッジが、2ポイント程度亀田優勢に付けていた。
内藤側セコンド陣としては、
「 は ぁ ! ? 」
だったでしょう。
あれで、いろんなことが狂った、と思われます。
正直内藤陣営にとって、この5~8ラウンドの戦い方、ほぼ理想的なものだったんじゃなかろうか。
私もこの5~8ラウンドが亀田に付いちゃうんじゃ、現状もう内藤の勝ち目は無いな、と思いました。
この計4ラウンドでだいたい2ポイント・・・10:10を付けず、必ずどちらかの優勢10:9とするこのポイントシステム上において、この5~8ラウンドでもって2ポイント以上亀田に付けられた・・・これでとりあえず内藤の判定勝利は消えた、と思いました。
後半になって亀田がスタイルを崩して不用意な打ち合いに応じて、その結果内藤の右フックetcを食って倒される、という、こんな図式しか内藤の勝ちが無くなった、と思いましたね。
さらにさらに・・・これは少数意見というかもはや暴論なのかもしれませんが、試合終了時の私の採点では、内藤の1ポイント勝ち、でした。
ドローか、内藤の僅差判定勝ちかな、と。
なので、4~6ポイント差でほぼ亀田の完勝、という結果、正直ちょっと意外でした。
こんなのはどうやら私だけっぽいですが、そう思っちゃったものはしょうがない。
ただ、亀田はとにかくよく戦いました。
フィジカル面でも磐石で、なにしろ内藤にかく乱・・・心乱されることもなく最後まで戦った、このことによってまず賞賛されるべきでしょう。
そして、あの百戦錬磨の内藤を完封した。見事な戦いっぷりでした。
これでもっとキャリアが有ったら、内藤は12ラウンド終了のゴングを聞けなかったかもしれません。
次戦は、現状ではポンサクレック戦になりますが、おそらく実現はしないでしょうが、実現したら、これは強敵です。
内藤はこれで引退でしょうか。
なんとまぁドラマチックなボクサー人生でしたが、お疲れさまでした、と言いたいです。