ああ、だからこんなヘンな時期に特番なんぞやったのかな、しかもあんな大掛かりな・・・などと、ヘソ曲がりなことを考えたりしつつ報道に触れているところです。
もうかれこれ10年以上前の話ですが、当時のオレは某ローカルTV局に勤務し、そこである情報番組を担当しておりました。
番組には警察・消防・税務などといった「署」関係の枠がありまして、それこそオウム逃走犯の告知や、交通安全だ防災訓練だ確定申告だといった特集を組んだりしておりました。
そんなわけで、必然的に各署の皆さんとも(公私ともに)いろいろお付き合いがあったりしたのですが、中でも特に昵懇だった某警察署の生安や刑事といった課の皆さんに、よくこのオウムに関する話を聞かされたものです。
「菊池と高橋はともかくなぁ、平田は確実に日本にいるんだよ!」
とかね。
当時は”なんで平田だけ?”とか思ったりしたのですが、先般その平田「だけ」が、しかも自分から出てきたりしたので、ああもしかしたら、あながち・・・とか、なんか不思議な心持がしたものです。
そして今日、菊池直子の身柄確保の報。
副署長レベルも交えて、どう告知すべきか、なんてよく打ち合わせしたっけなぁ、などと、なんだか感慨深いものがあります。
ところで・・・このオウムという教団は、よくよく調べると、実はなにからなにまで失敗の連続で、それどころかその失敗のどれもこれも、もうバカ丸出しのマヌケなものばかりだったりするんですよね。
VXガス作れば失敗するし、ガス噴霧器作ったら間違って自分らがかぶっちゃったり、コスモクリーナーなどという宇宙戦艦ヤマトかぶれ丸出しなシロモノを結構なカネかけて作っちゃったり、もう枚挙に暇がありません。
なので、残る高橋も・・・いっときは国外でもって影のドン的支援者に匿われてるのでは!?なんて話も出てましたけど、結局は普通にずっと国内でフラフラしてるんじゃないか、という気がします。最大級の警戒をしたものの、いざフタを開けてみたら予想を大幅に下回ってた、なんてことばかりのマヌケ集団でしたからね。
※ちなみにアホな失敗ばかりの彼等でしたが、なぜかサリンの製造には成功しちゃったんですね。これが最大級に不幸な「偶然」だった、と言わざるを得ません。
こないだのNHKの特番も含め、現在まで実にいろんなメディアでこの教団の犯罪、引いてはこの教団そのものについて、これも実にさまざまな分析etcが試みられていますが、ひらたく言ってしまえば、全ての根源は、要するに彼等が上から下まで、もう徹底的に「世間知らず」であった、ということです。これに尽きるんですね。
幹部にしても、世間知らずの先鋭的エリートが、世間知らずであるが故にその「夢想」に抑えが効かなくなって暴走してしまった、と言えるように思います。
で、その抑えのタガを外した、若しくは、自らのタガを外すためのある種の逃げ道としたのが、麻原という「カリスマ」とされた存在なんですね。
なにしろ「超能力者」なんですから、どんなにリクツに合わなくても、どんなに理不尽でも、もはやなんの問題も無いわけです。
事ほど左様に、世間知らずであるというのは、恐ろしいことです。
でもって、そんな彼等の世間知らずを笑えるものは、実はそんなに多くない、という。
これもまた恐ろしいことです。
弊社などもいわゆる零細企業ですから、それは即ち、社会活動の範囲が狭くなりがちだ、ということに他成りません。。
自分の周りの「社会」が全てだとか、夢にも考えたりしないように、これは意識していかなければいけない、と、この零細企業の社長であるオレは常々思っています。
上記のサラリーマン時代は、仕事柄、警察、消防、税務、町内会のオッサン&オバチャン、学校に幼稚園・保育園、政治家、各種代理店、と、それこそありとあらゆる職種や立場の人と、決して浅からぬお付き合いをしてたものです。退社する直前の2年間くらいは、実際に出社するのなんて月に1、2回だけでした。なにしてたのかというと、上記したような人と常に「お付き合い」してるわけです。
なので、あの頃に比べると、今はやっぱし世界が狭くなってるなぁ、と自覚しています。
それはつまり、その狭くなった分だけ、極論すれば「カルト」化してる、と、言って言えない事もないわけでね。
無理矢理な結論ですが、我々は常に「世間知らず」に堕ちる可能性を内在してるのですよ。
で、その行き着く先は、究極的には「カルト」です。
オウムの、幹部のみならず全ての信者も、一足飛びにあそこまで至ったわけじゃないですからね。
また彼等には、教祖という、自らをカルト化してしまうのに格好の逃げ道が在ったわけですが、同じようなモノが我々のそばに居ないなんて保証はどこにもないわけです。
SOHOなどの人はいうまでも無く、会社内と、一部外部関係業者とだけのお付き合いしかしてないなぁ、とか、そういやご近所くらいしかお付き合いがないな、とかね。そういうのも「落とし穴」ですよ。
「カルト」化までいかなくても・・・これはちょっと話が違うかもですがやはり上記のリーマン時代、ある知的障害児の支援施設の取材を続けてたことがありました。
詳細は省きますが、知的に障害の有る方にとって、職業選択がなかなか難しいという現状がある中、「ベ−カリー」と「ランドリー」というのはその貴重な選択肢なんだそうですね。
で、その施設である日、
「ウチで預かってる子の将来のために、小さくてもランドリーとベーカリーを自営しよう!」
という話が出ました。
ある程度のカンパも含めそれなりの資本が集まり、店舗敷地の目星もついたのですが、この話が突然頓挫しましてね。
そのお知らせを頂いて、あまりの突然さにオレなども大層ビックリしたのですが、理由を聞くと、近隣の商店からの反対があまりにも強くて・・・との由。要するに、なんであれ新たな商売敵は認めない!ってことなわけです。
知的障害児が数人、という程度の規模の店舗とさえ競争するのを厭うというのは、この人らはどれだけ「ぬるま湯」なんだ、と大いに憤った記憶があります。
これが「世間知らず」じゃ無い人であれば、少なくとも友好的に接するはずです。あわよくば資本提携くらいまで考えるでしょう。それがどれだけその店、引いてはその地域のイメージアップになるか。もともとがさほどデカい店じゃ無いんですからその経済効果は計り知れません。
こんなことさえわからないほど彼等は「世間知らず」なのか、と思ったですね。
※結局この施設は潰れまして、それから10年ほど経ちますが、今年はとうとう幹部氏らへの年賀状も戻ってきちゃいました。みんなどうしてるかしら。
とにかく、要するに、「世間知らず」で良いことなんて、ひとつも無いんです。
なんだか「菊池直子」とゼンゼン関係無くなりましたが、まぁとにかくそういうことです。ではおやすみなさい。