ここ数日遊んだり仕事したりその他いろいろしてる間に、世の中にもまたいろいろあったようで、なによりポール・マッカートニーがまたまたまた来日公演することになった由。こないだ来たばっかしじゃんか、と思うのですが、まぁ当方としては何度来てもらっても構いません。
昔はともかく、今は熱意も知識量としても、堂々と「ポールのファンです」と胸張って言えるような状況に無いオレなのでメッタなことは言うべきじゃないとは
思うのですが、それでも書いてしまうと、ここんとこポール及びその取り巻きは、ずいぶん変わったなぁ、と思う次第です。大げさに言うと「変質」した感じが
あります。
聞くところによると、なんか日本の週刊誌かなんかの取材で、あの、ポロシャツの胸ポケットだかに大麻を入れたまま成田の税関を抜けようとして捕まって拘置
所にブチ込まれた際の話なんかをペラペラ喋ったりしてる由。そんな質問をするやつ(湯川れい子だった気がする)もするやつですが、ペラペラ答えるポールも
ポールで、やれ看守にサイン求められただとか、同房のクリカラモンモンのヤクザと妙に気が合ったとか、そういうことを喋る人じゃなかったような気がするのです。ヘンクツなイメージがあったわけじゃ無いのですが、こういう質問に対してはなにより周囲がピリピリしてたんじゃなかったかな、というね。
人間、功成り名をあげ、且つトシをとると、昔の事柄なんぞどうでも良くなるんですねきっと。
ところで地球上の人類は、まぁ中には極めて例外的に「どっちも好き」とか「どちらも別に」なんていうよくわからない価値観の人がいたりもしますが、基本的にポール派とジョン派に大別出来ます。ホモ・サピエンスは必ずこのどちらかに属します。
で、ANNなんかを聴くに例えば坂崎@アルフィーや拓郎はジョン派だそうで、いわく「若い時は、なんとなくポールの商業主義的な感じがなじめなくてなァ」
とのこと。事程左様にどっちかっていうとジョンにシンパシーを感じる、という方がやや多数派な気がします。なんとなくですが。
しかし、オレは正にそのポールの商業主義的な部分、もっと言うと、その他に類を見ない「臆面の無さ」をこよなく愛します。
前回の来日時のライブ、オレの記憶に間違いが無ければ、セットリスト1曲目が「Eight Days A Week」だったはず。こういう曲を一発目に持ってきちゃうところがいかにもポールらしくてオレは大好きなのです。
20年くらい前に「ヤァ!ブロード・ストリート」なる映画がありましたが、これはもうスゴい映画でした。ポールの脚本・主演作なのですが、簡単に言うと、
竹馬の友(=リンゴ・スター)がなんか殺人だかの事件の犯人として捕まってしまい、世論もリンゴに否定的なところで、ポール扮する主人公が「世界の誰もが
疑ってもボクだけはリンゴを信じる!」とかいって苦心の末に真犯人を見つけ出し、最後はメデタシメデタシ、という、まぁはっきり言ってバカバカしさもここ
に極まるロクでも無い映画で、興行成績も惨憺たる有様だった由なのですが、オレはこういう脚本を臆面も無く書いて、しかも自身が主役で制作してしまうポー
ルの図々しさに惚れましたね。ポールはそうでなくっちゃいけない、と。
むしろビートルズ時代から、ポールのスゴさは、こういう臆面も無いド正面からの曲を数多作っていながら、それが全て陳腐に落ちないところだと思うのです。
音楽に限らず、普通はこういう図々しいスタンスでモノ作りすると陳腐でみちゃいらんない出来になっちゃうものだと思うのですが、ポールの場合少なくとも音
楽というジャンルにおいては決してそうならない。上記の「ブロード・ストリート」も、映画作品としてはロクなもんじゃないですが、サントラ盤は不思議なく
らい素晴らしいものでした。どっちも同じスタンスで作られてるはずなのですが。
その他にも、マイケル・ジャクソンが「スリラー」でブレイクしたと思ったらすぐ声を掛けて「セイ・セイ・セイ」etcを「共同制作」し”ぼくらの友情の証
しさ!”なんてな発言をしてみたり、若い頃からさんざんハッパやらLSDやらをやりまくっておきながら、いつのまにか「麻薬撲滅キャンペーン」などを主宰してみ
たり、どころかベジタリアンになっちゃったりするポールが大好きです。
今回の来日ライブも、もしかしたら1曲目が「イエスタディ」だったりするんじゃないかと期待している次第です。
なんでこういうことをこんな夜中に書いてるかというと、今回の来日に対して、さすが親日家のポール!なんてことを書いてる方を散見したからです。
なんにもわかってないなァ。ポールはヨーコが生まれた国であり、元ビートルズメンバーである自分をムショにブチこんだりしたこの日本国なんか大嫌いなはずですよ。
でもきっとライブでは、臆面も無く図々しく堂々と、ハロー!親愛なるニホンのミナサン!ボクは愛するニホンに来れてベリーハッピーだよ!などと叫ぶに違いなく、そんなポールを観てオレはきっとウレシ涙をこぼすのです。