阿川弘之の訃報に接して。
いつだかも書いたようにいわゆる「第三の新人」の方々は中~大学時代の私のいわばアイドルで、著者名にそこに属する方の名があれば無条件で買い漁り読み漁りしたものです。今でも我が本棚には「志賀直哉」から「きかんしゃ やえもん」に至るまで揃っております。
氏の著作には妙なところで影響を受けておりまして、「井上成美」の終章、一人暮らしの井上の部屋が加齢臭に満ちていた云々のくだりを読んで、オレはそうならないように今からちゃんとフロに入ろうと決心したり、私流ステーキの焼き方が「鮎の宿」にあるほんの2行ほどの「私的ビフテキレシピ」のくだりそのままだったり。
前者からはホントに老齢の侘しさが滲んでおりましたし、後者のステーキはホントに美味そうだったんですね。ああ、そういうところが「ブンガク」なのかもなぁ、と感心したりしたものです。
氏を「第三の新人」に入れることには是非もある由ですが、なにしろそのメンバーでご存命なのは三浦朱門ご夫妻だけになってしまいました(多分)。27年も経てばそりゃ昭和も遠くなるに決まってますが、いやぁホントに遠くなっちゃったなぁ、と改めて実感する次第です。