「ウルトラQ」。
大学時代の「シナリオ実習」なる授業のセンセイがこれに関わっておられまして、最初期の授業で“皆も一度は観るように”みたいなことを仰られたのですが、そういうことをいきなり言われると観る気が無くなるのが人情というもので、結果そのまま20有余年、現在まで観ずにおりました「ウルトラQ」、納品×2件が終わったのを良い事にイッキに観てしまいました。
存外に面白かったので、こんなことなら素直に当時観とけばよかった。
内容については多くの方が広く深く語ったり書いたりしておられるので割愛しますが、なにしろ面白かった。皆も一度は観るようにね、ということで。
印象に残っているのは第15話「カネゴンの繭」ですね。
カネに汚い少年が懲罰的にカネゴンなる怪獣になっちゃうやつですが、この少年の名前「カネダ・カネオ」ってのがまず素晴らしい。世の中にこれ以上カネに汚そうな名前があるでしょうか。
また、カネゴンになってしまって困ってるカネオ少年の友人らが、助けを求められてるにも関わらず
「こいつに芸を仕込んでサーカスに売ってカネにしよう!」
などという血も涙も無いところで一致団結し、さらに実際に玉乗りなどやらせ、失敗ばかりのカネゴン少年に対して
「こいつはダメだ金にならねぇ!」
などと言い放ってしまうとことろも最高でした。
ちなみにこのカネオ少年役をやった少年のツラ構えも最高でした。どこでどうやってこういうツラのガキを探してくるのか不思議ですが、思うに当時はこういう面相の子どもばかりだったんでしょうねきっと。
だんだん子どもの顔etcがキレイになってきてるんだなぁ、とは、小津の「おはよう」だとか、木下版「二十四の瞳」を観てもそう思えます。っていうかオレなどの子どもの頃と比べても今の子は総じて美少年美少女ばかりな気がします。なにが違うんだろうか。やっぱし食い物のモンダイでしょうか。
ところで、少年らの遊び場は造成途中の宅地らしき広っぱなのですが、造成作業中のブルドーザーが「西武」のものだったりするところに時代を感じます。確かにこの会社はこの時期(昭和40年代初頭)からこういう感じで宅地を作り駅を作りして伸びていき、その結果として後年にバブルのバブルらしいところを担っていくことになるわけで、現代に続くナニモノかをオレはそこに見ちゃったりしました。
そういうところから考えてみると、戦争で一面焼け野原になったところからホンの20年足らずで、登場人物たちが普通に電話を掛け地下鉄に乗り飛行機で旅行し、している。このことはスゴイことですね。「焼け野原」からここまでで20年。オウムが地下鉄にサリン蒔いた年から今年で20年ですが、当時と今とで前述の20年ほどの抜本的(と言っていいと思う)な変化がありましたかね。
しかし「ウルトラQ」、近々のうちにオレは恐らく全編観ることになると思います。