和装について。
この正月はずっと和装で過ごしました。なんでかって楽だからです。こんなに楽なものだとは思いませんでした。肩は凝らないし動きやすいし。
七草も明け、もう洋服に戻りたくないと思いました。っていうか現在進行形でそう思っています。
行きつけの喫茶店や焼き肉屋さんによると、別に和装で来たからってウチとそしてはどうだってことはないですよ、っていうか食いこぼしに気をつけていればどんなカッコでもいいんじゃないですか、とのこと。でもそういう場所ならいいかもしんないけど、打ち合わせだとか撮影現場だとかに着物&羽織で行ったらやっぱし妙だよなぁ、ってことで、仕方なく、耐え難きを耐え忍び難きを忍び、涙を飲んで今は洋装に戻っています。でもぶっちゃけてしまうとどこにも出かけないようなときはずっと和装だったりします。事務所内でどういうカッコでいようとオレの勝手なのであります。
ただ、角帯の結び方がちょいとメンドいっていえばメンドいかもしれません。
まぁそれも慣れなのですが、これはなかなかいい感じに慣れません。
小津「小早川家の秋」を観ますと、中村鴈治郎が囲ってる女のとこに出かけるのに、家人の目を盗んで、孫と隠れんぼなどしつつ、もういいかい、まぁだだよ、とか言いながらサッとお出かけ用の着物を箪笥から出し、廊下をウロウロしつつチャッチャと角帯を結んでそそくさと玄関を出る、ってシーンがありますが、まぁその所作の美しいことね。美しくて手際が良い。ここまで慣れるのは一朝一夕では無理無理、やはり相応のキャリアが要るな、と思ったものです。
キャリアといえばですね、和装ってのはそもそもオッサン・オバチャンが基準なのですよね。洋装は、これは明確に若者基準ですが、和装は体型が崩れてしまった状態が基準なのです。若くてスリムな方が着るときは、わざわざタオルやなんかをお腹に巻いて、中年太り状態を作らないと似合わない、という。
ついでにいうと江戸時代のチョンマゲね、あれは最初からハゲてたらわざわざ月代剃らなくて良いわけでね。ああオレも早くオッサンになってハゲて月代をいちいち剃らんでもいいようになりたいなぁ、と往時の若者は切に思ったことでしょう。
年長者が尊ばれる社会というのは良い社会ですよ。
社会全体が年長者を尊ぶ体制になっていれば、低出産率及び高齢化社会の問題もかなり解決しますよ。なんで若い世代が子どもを産まないかって、この先自分がオッサンオバチャンになり、その先に至るまで子どもをマトモに育てられるかどうかの不安と、産んだ子がオッサンオバチャン以降になる時代への不透明感、っていうのが大きな理由なんじゃないですか。これだけとは思いませんが、要するに社会として年長者が尊ばれてないさまを潜在的に見ているからですよ。
まずは和装回帰するところから始めますか、ラクだし。
和装はオススメです。単価は高いですが、そうそうムチャしなけりゃ結構長持ちするっぽいので、長い目で見たらリーズナブルですよ。ってモノにも依りますが