先日の記事においてあまりにもマニー“パックマン”パッキャオをベタ褒めしてしまったが、今一度考えてみる。
先日はなにしろデ・ラ・ホーヤをサンドバッグにし、タフで鳴るリッキー・ハットンをほぼワンパンチ失神KOした試合を観ての書き込みであったので思わずベタ褒めしてしまった次第だが、果たしてパックマンは本当に先人に勝る磐石な王者なのであろうか。
改めてここで考察してみたい。
パックマンの長所は、なによりもまず、パンチの「当て勘」の良さ、である。
相手の急所に、ピンポイントに決めるパンチが多い。やたら多い。エリック・モラレスとの第三戦の2R、ダウンを取る直前まで攻め込まれていたのはパックマンの方なのだが、一気呵成に攻め込むモラレスの、右フック後の返しの右に合わせた左フック一発、このピンポイントにテンプルに決めた一発で逆にダウンを取ってしまった。
ハットン戦も、それまでの攻撃でハットンが右パンチを意識している、そのさなかに放った左フック、これは殆どこの「当て勘」だけを頼りに放ったパンチだが、ものの見事にハットンのアゴを捕らえている。
これだけの「当て勘」を持ち、加えてハンドスピードの速さ、コンビネーションの速さ、ステップインの速さ、これらを備えてる以上、パックマンにもはや死角はなかろうと思う。
ただ、あえてその「死角」を見つけようと試みてみる。
まず、ステップインがベラボーに速く鋭いのだが、時々やや不用意な時がある。
ライトフライ級上がりのパックマンとしては、今後戦う相手は間違いなく全員、体格で勝る相手ばかりになると思われるので、不用意・中途半端な接近は非常に危険である。
例えばコンディショニングに失敗したりしてキレを失うと危険である(ってそんなの誰でもそうだが)。
また、上記の「当て勘」、これは要するにかなり早い段階で相手のリズム、攻防パターンを見切ってるから出来るワザなわけだが、ありえないくらい柔軟で変則な相手が来ると苦戦することになるかもしれない。
内藤大助があとふたまわりくらいスピードアップし、3まわりくらい変則度を増したら、パックマンの良いライバルになったりしたかもしれない。
あと、やはり体格差、これがどうしても今後のネックになってくる気がする。
なにしろパックマンは元々ライトフライ級でやってた選手。ライトフライ級って言ったら体重48.98kgが上限のクラスである。
こんなパックマンがサンドバッグにしたデ・ラ・ホーヤは、ミドル級の世界王座戴冠経験者。ミドル級は体重72.57kgのクラスである。
まぁそりゃこの時も48.98kgで戦ったってわけじゃ無いが、なにしろ根本的な体格が違う。こんなことはマンガやK-1でもない限り有り得ない話である。
論より証拠、これを見たら一目瞭然である。素人目にもヤバいくらい体格に差がある。
パックマンはこのマンガ的な想定を現実化した男なわけなのだが、なにしろ今後も間違いなくこういう体格ハンデを背負っての試合が続くことになるので、どうしても常に「体負け」の不安が付きまとう。
この「体負け」をしないための手段こそがステップインの鋭さ、及びパンチスピード&連打の速さなわけだが、これらが通用しないくらいデカい相手とやらなければならない日がくるかもしれない。
正直、現在のパックマンのベストウェイトはスーパーフェザー~ライト級くらいな気がする。ちなみにライト級は体重61.23kgが上限である。
デビッド・ディアスとのライト級世界戦でさえ、まだちょっと体格差がある感じがする。
パックマンの次戦は、11月14日、“プエルトリコの英雄”ことミゲール・コット戦になる由。
コットはナチュラルなウェルター級(66.68kg)で、前出のハットンよりデカい。デ・ラ・ホーヤ線と同じくらいの体格差となる感じである。
加えてコットはガードの固さ、コンビネーション連打の速さに定評がある。
常識的に考えたらパックマンに勝ち目は無いのだが、どうだかなぁ。