高齢者と若者の「問題」。

いわゆる「文明開化」以前の我が国は、非常に高齢者に優しい国だったんですよね。

優しい、若しくは、高齢者を基準にした社会だった、と。

例えば和服。

男女問わず、あれは年寄りになればなるほど似合うんです。年取って体形が崩れて初めてシックリくるように出来ている。

だから、例えば成人式なんかで若者が着物着るときには、わざわざお腹に詰め物?したりして、人口j的に「中年太り」を作るんです。そういう体形
じゃなきゃ似合わないんですね、和服というものは。

また例えば、チョンマゲ。

ああいう髪型?がスタンダードであることによって、ハゲがみっともなくなる。どころか、むしろハゲてる方がビシッと決まるんです。

事ほど左様に、かつての日本は、年寄りが基準でありました。若い者は年寄りに合わせてひび暮らすのが常であり、常識でありました。


翻ってコンニチはどうか。

これはもう、紛れもく「若者基準」でほぼ全てが動いてますね。

年相応のハゲっぷりであっても、それはもはやコンプレックスのモトでしか無い感じですし、オバちゃんたちは挙って”ああ、17、8歳の頃のウエス
トに戻りたいわぁ”なんて言ってたりします。みんながみんなじゃ無いんでしょうけど、なにしろ若いってことがある種の理想であることに違いはありません。

こういうのはね、あんまし良いことだとは思わないんですよ私的には、ね。

年を取るのは悪いことじゃない・・・どころか、年齢を重ねることこそが、人類にとって唯一の「良いこと」なんじゃなかろうか、と思うんですよ。

「良いこと」というか、より年を取ってる者=より老い先の短い者が尊重されるのが当たり前なんじゃなかろうか、と。

だってね、そうじゃなかったら、何のために生きてるのかワカランですよ。生きていくってことは、否応無しに少しづつ「老い先の短い者」になってい
く、ってことなわけですからね。

人生の最盛期は、必ず「今際の際」であるべし、と思うんです。

「今際の際」を最高最上の状態で迎えるために我々は生きてるんじゃないですかね。

もっと言っちゃうと、この図式が崩壊してしまったから、天寿を全うする前に自ら命を絶つ人が増えてたりするんじゃないですかね。そういう側面も少
なからずあるんじゃなかろうか、と思います。先々に希望が持てない、ってのは、突き詰めればそういうことですよ。

・・・

ついでに言っちゃうとですね、逆に「若い」ってことは、もうそれだけでモノスゴク恥ずかしい・カッコ悪いことだと思うんですね。

どの道「若い」ってだけで恥ずかしい状態なんだから、その上でさらに多少恥ずかしいことをしてしまっても許されちゃう、というね。

どう転んだって恥ずかしい・カッコ悪いんだから、多少ムチャクチャやってもOK、非常識で半ば当たり前、という、それが本来あるべき「若者像」で
すよ。

それが、なんか知らないけど「若者」が社会におけるある種のスタンダードになってしまってるもんだから、なんだか意味不明な「縛り」が発生し、彼
らを苦しめる結果になっちゃってる。

こんなに可哀想な事はそうそうありません。ホントはもっとムチャクチャしていいはずなんですよ。

とにかくですね、社会において、年寄りが一番エラいんです。

そうでなきゃ、年寄りも、また若者も不幸なんですよ。そんな気がしますよオレは。

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