思い立って深夜になって「アナと雪の女王」観てきました。出先の至近でやってたので、フト思い立って、という感じで。
人気話題作だとどこか小馬鹿にして手を出さないような俗物はオレとしては忌み嫌う対象で、いわゆる話題作だろうがマイナー作であろうが拘り無く観るのがモットーだったのですが、振り返るにここ数年は無意識のうちにそんなヤカラになってたような気がします。昔はE.T.だろうがフラッシュダンスだろうが戦メリだろうが自分のモノサシだけの判断でなんの拘りも衒いも無く観に行ったじゃないか、こんなことじゃいけないなぁオレ、と思い知らされた作品でした。いやぁ、これはヒットしますわそりゃ。食わず嫌いはいけません。
考えてみれば極めてシンプルな、ある意味不躾なところさえある当作品ですが、そんなことにはお構いなしに魅せてしまうってのは、これは太宰の言う「才能の巨腕」というやつでしょうか。
いつだか「レ・ミゼラブル」観たときにも感じたのですが、アチラの方々は実にうまいこと己の宗教世界を活かしきるなぁ、と思います。
言い方を変えると、誰も彼も自らの宗教を意識して暮らしてるんだろうな、と思う。いろんな人種が共同生活するにあたって、宗教というものが貴重な共通価値観として機能しておるな、と感じます。
たちかえって我が国ではどうかというと、このあたりがなかなかうまいこといってない感じがあります。なかなか作品の中に宗教が生かされてない気がする。
外国人記者クラブのみなさんいわく、ニホンジンほど信仰心の強い国民はおらない、とのこと。だとすると思うに我が国のそれは各々の無意識層にまで浸透しきってるだけに、なかなかあえて具現化しにくいのかもしれません。宮崎パヤオ氏が「もののけ・・・」や「千と千尋・・・」でちょっとだけ試みてるような感じもありますが、当作品のようにその部分がそのままエンターテイメントの主題にはなってませんね。
まぁこのことは、どっちが良くてどっちがダメってな話じゃないですけども、なにしろ当作は(も)、実にその辺がなんの衒いも躊躇いも無く表現されてますな。汝の隣人を愛せよ、右のホッペタを殴られたら左も差し出せ、です。そしていきつくところはアガペーなわけですね。
ところで某サイトでのレビューをみるに、「期待外れ」ってな意見も散見されます。思ってた展開と違う、オレの考えるディズニー映画はこうじゃない、というような。
まぁそれはそれでひとつの意見ではあるのですが、私的には、事前に想像してたストーリー展開と違ってるからこそ面白いんんじゃねーかよ、とも思えます。予定調和じゃないとイヤだ、ってのはいかにも狭量だねぇ。
自分の器の範囲でしか作品を愉しめないってのは悲しいことです。器を広げてくれるのが「佳作」というものですよ。当作は、特にお子さんにとってはそういう意味で最良の「佳作」だと思います。