昔々の昭和の御世、我が国には全日本プロレス、新日本プロレス、そして国際プロレスという3つのプロレス団体がございまして、この3団体が文字通り三つ巴でもって国内プロレス市場を独占しておりました。
昨今はいわゆる「インディーズ」団体が雨後のタケノコのように生まれては消えしておりますが、当時はこの3団体が日本のプロレス団体の全てと言って良い状況でありました。・・・あ、男子の、ね。
ただ・・・「三つ巴」と書きましたが、いずれも「国民的英雄」力道山の愛弟子であったジャイアント馬場、アントニオ猪木の率いる全日本、新日本と比して、そういった系譜からすると直系筋ではなかった国際プロレスは、まぁなんというか、いかんせん地味というか、とにかく前記2団体の後塵を拝する立ち位置を余儀なくされておりました。
国際プロレスのエースは「金網の鬼」ことラッシャー木村。
そしてマイティ井上、アニマル浜口がいわば中堅として脇を固め、ルチャ的空中殺法の使い手であるマッハ隼人に、テクニシャン寺西勇と、コマはそれなりに揃ってたんですけどね。
でもって外人選手もなにげにイイ感じのが挙って来てたんですが、いかんせん力道山直系の2団体との人気差はいかんともしがたいものがありました。
でまぁ経緯・詳細は割愛しますが、あれはオレが中学二年生の頃、この国際プロレスがつぶれちゃうわけです。
団体の倒産によって宙ぶらりんになっちゃった旧国際プロの選手ら。
・・・これまた詳しくは省きますが、この選手らに目を付けたのが、辣腕で知られた新日本のプロモーター(でいいのかな)・新間某氏です。
またまた経緯は省略しちゃいますが、氏はいわば会社都合でもって無職化の危機にあった旧国際プロのラッシャー木村・アニマル浜口・寺西勇を、団体のスターでありいわば「正義のヒーロー」的役回りであったアントニオ猪木に対する「悪玉」として起用し、新日本のリングに上げたわけです。
このあたりの事情は当時からのプオタであれば誰もが熟知しているのですが、だからといってあんまし割愛してばかりなのもアレなので、、ここはwikipediaから引用しておきます。
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1981年10月8日、蔵前国技館にて、「新日本プロレス対国際プロレス」の”全面対抗戦”が行われた。その直前に国際は倒産して興行機能を失っており、そこで新日本との対抗戦を模索したものだが、この大会のポスターにも名を連ねていたマイティ井上・鶴見五郎など多くの選手が反発し、全日本プロレスへ移籍するなどしたため、残党としてラッシャー木村・アニマル浜口・寺西勇の3人が新日本へ乗り込んだ。
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・・・ここに至って、ラッシャー木村・アニマル浜口・寺西勇の3選手は、「はぐれ国際軍団」として、猪木の敵役というアイデンティティを得たわけです。
で、この役回りを「より良く」遂行するために、上記引用しました1981年10月8日・蔵前国技館興業に先駆けて、その前フリ・事前煽りの機会が彼らに与えられました。
これについても、またまた引用。
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これ(=1981年10月8日・蔵前国技館興業)に先駆けた1981年9月23日、木村と浜口は新日本の田園コロシアムでの興行に姿を現し、決意表明。この際に、マイクを向けられた木村は「こんばんは…」と第一声を発してファンからの苦笑を誘った一方、浜口は「俺たちが勝つんだ! 10月8日を見てろ!」とアジテートし、うって変わってファンからのヒートを買った。
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そうです。これがかの有名な「ラッシャー木村マイク事件」。
・・・ただね、オレは、この木村マイクよりも、、
> 浜口は「俺たちが勝つんだ! 10月8日を見てろ!」とアジテートし、うって変わってファンからのヒートを買った。
ここね。ここが非常に印象的でした。
この場面は、恐らくyoutubeなどにもUPされてると思うので、未見の方は是非みて頂きたい。
木村の誠実・実直な人柄とともに、アニマル浜口というレスラーの、卓越した空気読み能力、誤解を恐れず言うならば「プロレス芸」。
あの時、アニマルが木村からマイクを受け取って「アジテート」してなかったら、その後の彼らは間違いなく存在していなかったはずです。
愚かなるガキであったオレは当時全く気付きませんでしたが、オトナになってようやく、この浜口の至芸に感嘆するに至った次第であります。
この後、猪木vs.「はぐれ国際軍団」3名の1対3ハンディキャップマッチなどという、今考えたらかつてメジャー団体のエースだった面々としては屈辱以外の何物でもなかったであろうマッチメイクが組まれたりしたのですが、ラッシャーも新間氏も既に彼岸にある今となってはどうでもよいことです。
(ちなみに木村はその後全日本プロレス~プロレスリング・ノアで、前座に無くてはならない存在として永く愛されるに至りました。)
さてさて、この度の五輪です。
アニマルの愛嬢である京子ちゃん、残念ながら一回戦負けと相成ってしまいましたが、やはりその傍には、あのアニマルが、寄り添っております。
思えば、常にアニマルが前面に出、時に道化を演じたりすることで、どれだけ無粋なマスコミ取材から京子ちゃんが守られたことか。
ワケのわからんバラエティ番組に引っ張り出された際も、アニマルの「卓越した空気読み能力」によるパフォーマンスで、どれだけ京子ちゃんの負担が減ったことか。
アニマルの例の「気合いだ!」etcが注目されることで、結果としてどれだけ京子ちゃんの練習時間が守られ、精神面での負荷が軽減されたか。
考えたら、賛否両論あれど、国際プロレス残党をすんでのところで救ったのも、アニマルの「卓越した空気読み能力」でした。
アニマル浜口、アンタはすごい人だよ・・・と、オレは思っています。